■出版社「報道する意義あり」/劇場側は「訴訟も視野」
写真週刊誌の「フライデー」が、
元グラビアアイドルでストリップデビューした小向美奈子の
舞台写真を掲載したことをめぐり、
劇場の浅草ロック座と
週刊誌を出版した講談社との間で騒動が起きている。
盗撮まがいの取材手法であっても
表現の自由は守られるべきなのか、
それとも劇場の営業権や小向の肖像権が優先するのか。
軍配はどちらに?
≪リニューアル号で≫
問題の写真が掲載されたのは、
「フライデー」6月12日発売号。
小向がステージ上で上半身を
あらわにして踊っている姿がはっきりと写っている。
覚せい剤取締法違反で逮捕され、
執行猶予中の小向がストリップ劇場に出演することは、
以前の所属事務所が出演禁止を求めていたこともあり、
6月5日の初日前から大いに注目されていた。
浅草ロック座では、
盗撮した場合の罰金を通常の50万円から300万円に引き上げ、
入場者へのボディーチェックも厳重に行った。
劇場によれば、
6月29日の千秋楽までに
ペン型カメラを没収されたファンもいたという。
だがフライデー側は
チェックの網をすり抜けて、
劇場の許可なく隠し撮りを敢行。
編集長が代わり、
表紙を白くして大胆にリニューアルした
同日号は、「小向効果」も奏功し、32万部を完売した。
≪表現の自由?≫
憤慨した
浅草ロック座は出版差し止めの仮処分申請を東京地裁に提出。
盗撮行為に対して、
「訴訟も視野に入れて今後の対応を検討している」という。
一方、
フライデーの秋吉敦司編集長は
「執行猶予中の小向さんが、
公然わいせつ罪に抵触する可能性もある
舞台でどのように演じているかは社会的関心事であり、
報道する意義があると判断して掲載した」とコメントする。
果たしてどちらの言い分が守られるべきなのか。
かつて和歌山毒物カレー事件の
被告の法廷写真が写真週刊誌に出たとき、
被告を弁護した山口健一弁護士は
「今回はロック座、
小向さんともに、舞台の写真を撮られ、
雑誌へ掲載されることを承諾していない以上、
劇場側は肖像権の侵害を訴えることが可能」と指摘。
表現の自由との兼ね合いについては、
「小向さんの出演を盗撮行為をしてまで
報じることに社会的な意味があるとはいえない。
表現の自由を唱えるのは無理がある」と断言する。
肖像権をめぐり、
民事訴訟にでもなれば、
数百万円の損害賠償が認められる可能性があるという。
≪写真誌の存在意義≫
これに対し、
元雑誌編集長の元木昌彦さんは
「かつてロッキード事件で
写真誌の『FOCUS』(休刊)が
田中角栄元首相の法廷写真を盗撮した。
法廷は公開が大原則だから、
傍聴者にしか公開しないのはおかしいとの論理だった。
今回はそこまでの大義名分があるかは分からないが、
盗撮で小向さんの価値をおとしめることはなく、
むしろ話題になったことから判断すれば、
肖像権の侵害とは言いにくい」と話す。
その上で、
「写真週刊誌ほど
肖像権などの問題を突き詰めて考えているところはない。
それを避けて通るようなら、
写真誌の存在意義はなくなる」と言い切る。
立教大社会学部の砂川浩慶准教授(メディア論)は
「取材手法はどうあれ、
写真を掲載することの是非は、
最終的にはそれが社会的に
どれほどの公益性があるかだ」と指摘する。
今回は、
以前の事務所による仮処分申請を受けて、
東京地裁が出演を中止するよう命じながら、
小向側が無視して出演に踏み切ったことも踏まえ、
「盗撮まがいのことが起きることは想定できた。
ある種、劇場側も出版者側も持ちつ持たれつで、
無断掲載は納得ずくのところがあったのではないか」と推測する。
≪以上引用≫
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